6月6日(土) 平和講話会

6月6日(土)やまびこ幼児園にて平和講話会が行われました。

講師には「NPO法人石川・宮森630会」の久高政治先生をお迎えし、

石川・宮森ジェット機墜落事故の当時の様子などをお話していただきました。

 

 

 午前9時30分 学童クラブの部屋に、月組・空組・太陽組・学童クラブが集合して

平和講話会が始まりました。

始めに、園長先生のあいさつです。

次に、久高政治先生より事故直後の様子などを紙芝居とともにお話していただきました。

 石川・宮森ジェット機墜落事故は昭和34年6月30日、久高先生が宮森小学校5年生の時に

起こった事故です。事故当時、学校はちょうど2時間目が終わり、ミルク給食の時間のため

先生方・児童約1300名が校舎内にいました。

そこへ、アメリカ軍のF100D型戦闘機が操縦不能となり、機体は民家35棟をなぎ倒しながら

宮森小学校のトタン屋根校舎に衝突。さらに隣のコンクリート校舎を直撃し、炎上しました。

事故直後の学校内の様子は天井が壊れ、窓ガラスも割れ「戦争だ!」「爆弾が落ちた!!」と

何が起きたのか分からず「お父さん、お母さん助けて!」「先生助けて!」とパニック状態

でした。パニックになった子ども達は、高学年の子が低学年の子の手をひいて、沖縄市や

金武町まで逃げ回り、夜になって戻って来た子ども達もいたそうです。

特に被害が大きかったのが2年生の教室で、戦闘機から墜落直前に流れ出ていた燃料がまき散ら

され、墜落とともに一瞬で教室が燃え上がったそうです。その教室から、火だるまになった

子ども達が水飲み場まで走り、そのまま次々と息絶えたと伝えられています。また4年生の教室

には、戦闘機の燃料タンクが突き刺さり、6年生の教室には戦闘機の頭が突っ込み、数名の

子ども達が命を落としました。保護者・地域住民の方々・先生方も必至に子ども達の救助作業に

あたりましたが、死者17名(児童11名、一般住民6名)重軽傷者210名、校舎3棟をはじめ

民家27棟、公民館1棟が全焼、校舎2棟と民家8棟が半焼するという大惨事でした。

事故後は、バケツを落とした音や飛行機の飛ぶ音を聞いただけで怯えてしまう状態が1年ほど

続きました。現在、宮森小学校の中庭には、犠牲となった児童らの御霊をなぐさめ、平和を

祈るための「仲良し地蔵」が建立されていて、毎年6月30日には児童らによる追悼集会が

行われています。

 

 

最後に久高先生から

「ジェット機墜落事故当時、先生の話を聞いて行動した子ども達は軽傷が多く、先生の話を聞けずに

パニックになってしまった子ども達は重傷が多かった。この事から、学校で火事や地震など『何か』

あった時には、先生の話をよく聞いて行動してほしい」

「日常生活のルール(交通ルールなど)を守って行動し、自分の命は自分で守る。そして親から

もらった命を大事にしてほしい」

「基地が日常化し過ぎて考えるのは難しいかもしれないが

◎ナゼ沖縄に基地があるのか?

◎ナゼ沖縄にたくさんの米兵がいるのか?

◎ナゼYナンバーの車が走っているのか? など、小さな疑問をたくさん考えてほしい。

疑問を解決するごとに、基地のあり方を考えてほしい」というメッセージがありました。

 

 

✿ 久高先生のお話の後、質問コーナーがありました。

 

 

Q 戦闘機に乗っていたパイロットは、どうなりましたか?

 

A 墜落したF100D型戦闘機は台湾で整備後、テスト飛行中だったそうです。テスト飛行でも

 本番を想定しながら50t爆弾を4つを搭載して飛行をしている中、操縦不能になり墜落した

 そうです。海の上を飛行中に操縦不能になったので爆弾は海に捨て、パイロットは墜落直前

 天顔付近でパラシュート脱出し地元民に助けられるも、助けてもらったお礼も何も話すことなく、

 迎えに来た車に乗って去って行ったそうです。

 また、事故当時の説明では「不可抗力だった」と説明されましたが40年後になって「整備不良

 だった」と知らされたそうです。

午前10時30分 講話会が終了しました。皆でお礼のあいさつです。

終了後には、貴重な資料を見せてもらったり、時間内でできなかった質問をしたりしました。

 


久高政治先生へ

本日はお忙しい中、貴重な体験談や資料を見せていただき、誠にありがとうございました。

 

 

◎NPO法人石川・宮森630会

 

 事故から50周年目を迎えて、当時の2年生が宮森小学校の校長先生として赴任。

ジェット機事故について、風化している現状に危機感を持って、後世に語り継いでいく

活動を開始する。50周年の取り組み以降、組織を再編し2011年にNPOを取得する。

 630会は、1つ目に、ジェット機事故を語り継ぎ、命と平和の尊さを訴えていく。

2つ目に、未来の担い手である青少年の健全育成に寄与することを大きな柱にして活動

しています。1番目の活動として、写真・資料展示会を県内各学校、市町村役所で開催

し、各種団体や学校での講演会を行っています。事故の体験者の証言集や資料集を発行

しました。体験者の証言集を基に映画「ひまわり」が制作され、全国で上映されました。

2番目の活動として、NPO法人りんく・いしかわとタイアップして劇団「石川ひまわり

キッズシアター」を結成して、地域の伝統や文化、ジェット機事故を歌やダンス、演劇

で表現しながら、子どもが子どもに伝える活動を展開しています。